電子カルテ・レセプト移行 電子カルテ データ移行 ORCA ベンダー確認
電子カルテ移行で移せる情報と移せない情報
この記事で分かること
- データ種別ごとの移行可否の一般的な傾向
- 移行できないデータの現実的な扱い方
- ベンダーに確認する項目
このような方向け
電子カルテの入れ替え・統合を控えたクリニックの事務長、システム担当を兼ねる管理職。
結論 — 「全部移る」を前提にしない
電子カルテの移行では、移行できるデータは一部というのが現実的な前提です。大事なのは「何が移るか」を早期にベンダーへ確認し、移らないデータをどう参照するかを先に決めておくことです。切り替え後に「見られない」と気づくのが最悪のパターンです。
データ種別ごとの一般的な傾向
| データ | 移行の傾向 | 備考 |
|---|---|---|
| 患者基本情報 | 移行できることが多い | 氏名・生年月日・保険情報など。標準的な移行対象 |
| 病名 | 移行できることが多い | コードの対応関係の確認が必要 |
| 処方歴 | 条件付き | マスタの違いで変換精度に差が出る |
| カルテ記事(SOAP) | 条件付き | テキストとして移っても、書式・構造は失われがち |
| シェーマ・画像・添付ファイル | 移行できないことが多い | 形式・容量・費用の制約が大きい |
| 検査結果 | 条件付き | 検査会社との連携形式に依存 |
| 文書(紹介状・同意書等) | 移行できないことが多い | PDF等での書き出しは可能な場合あり |
あくまで一般的な傾向です。実際の可否は現行・移行先の組み合わせで決まるため、必ず両ベンダーに確認してください。
移行できないデータの扱い — 3つの選択肢
- 旧システムの閲覧環境を残す — 参照専用で契約を縮小して残す方法。費用と期間をベンダーに確認します。カルテには保存義務があるため、閲覧手段の確保は移行計画の一部です。
- 書き出して保存する — PDF・CSVなどで書き出し、保管ルールを決めて参照する方法。書き出しの範囲と費用を確認します。
- 必要分だけ手入力する — 直近の通院患者に絞って、アレルギー・主要病名・直近処方などを新システムへ入力する方法。対象患者の基準と担当を決めて計画的に行います。
ベンダーへの確認項目
- 移行できるデータの範囲(上の表の区分ごとに可否を)
- 移行できないデータの書き出し可否・形式・費用
- 旧システムを参照専用で残す場合の費用と期間
- 移行作業の所要期間と、診療を止める時間があるか
- 移行データの検証方法(誰が・いつ・何件を確認するか)
- 概算費用と、費用が変動する条件
問い合わせ文の下書きは、無料の問い合わせ文テンプレートにそのまま使える形で載せています。
切り替え日の決め方
切り替え日はレセプトの締めに合わせて月初に置くのが基本です。月の途中で切り替えると、1か月分の請求が新旧2システムにまたがり、請求業務の負荷が大きく上がります。切り替え直前の週は新規の予約を抑える、紙の運用手順を用意しておくなど、現場の逃げ道も同時に設計します。
よくある抜け漏れ
- 検査会社・薬局など外部連携の切り替え — カルテ本体に気を取られ、検査オーダーや処方箋の連携設定が漏れがちです。連携先の一覧を先に作ります。
- 権限・マスタ設定の準備不足 — 職員アカウント、セット(定型処方等)、文書テンプレートは移行されません。稼働前の設定作業として工数を見込みます。
- 旧システムの解約時期 — 参照が必要な期間を決めてから解約日を設定します。早すぎる解約は取り返しがつきません。
注意事項
この記事は一般的な進め方の整理であり、法的・行政的な判断を保証するものではありません。個別の要件は所管の保健所・厚生局・自治体・専門家に確認してください。