医療管理職スターター by BRIDGE

業務分担・任せ方 業務分担 任せ方 抱え込み

「自分でやった方が早い」から抜け出す方法

公開 2026/07/18 更新 2026/07/18 執筆 橋本渉(BRIDGE)
この記事で分かること
  • 「自分でやった方が早い」が起きる構造
  • 最初に任せる業務の選び方
  • 任せた後に信頼を保つ確認の仕方
このような方向け

自分にしかできない業務が増え続けている管理職。休むと仕事が止まる状態の方。頼まれると断れない方。

結論 — 任せるとは、業務を渡すことではなく手順を渡すこと

「自分でやった方が早い」は事実です。短期的には必ず自分が早い。問題は、それを続けるとチームの処理能力があなたの時間の上限で頭打ちになることです。抜け出す鍵は気合ではなく、任せる業務を正しく選び、手順とセットで渡し、確認の段階を徐々に緩めるという技術です。

なぜ難しいのか — 医療職の「質への責任感」が裏目に出る

医療職は、質を落とさないことを最優先に訓練されています。その責任感が管理職になると「品質保証のために全部自分が見る」へ向かい、抱え込みになります。また、元同僚に「仕事を振る」ことへの心理的な抵抗も現実にあります。任せることは仕事を押し付けることではなく、メンバーの経験の機会を配ることだと捉え直すのが出発点です。

任せる業務の選び方 — 3つの基準

まずチーム業務の書き出しシートで自分の業務を可視化し、次の3基準で最初の1つを選びます。

  1. 定型である — 手順が毎回ほぼ同じ(物品発注、実績集計、資料の一次作成など)
  2. 頻度が高い — 週次以上。移管の効果が大きく、相手の習熟も速い
  3. 失敗の影響が限定的 — 患者安全・対外関係に直結しない。やり直しが利く

逆に、評価・労務・トラブル対応など判断責任を伴う業務は最初に任せる対象にしません。

依頼の伝え方 — そのまま使える形

「◯◯の業務を△△さんにお願いしたいです。理由は、私が持ち続けるとチームが回らなくなるのと、△△さんの経験になると思うからです。最初の2回は一緒にやります。手順はメモにしたので、やりにくい部分はむしろ教えてください。」

  • 目的(なぜ任せるか)を正直に言う
  • 丸投げしない(最初は伴走する)と明示する
  • 手順の改善権を相手に渡す(「あなたのやり方に直してよい」)

手離れまでの4段階

  1. 一緒にやる — 手順メモを見ながら2回
  2. やってもらい、後で確認する — 結果を全件見る
  3. 例外だけ確認する — 「迷ったら聞いて」に切り替える
  4. 報告だけ受ける — 定例報告に載れば見なくてよい

失敗の多くは、2の段階の確認を緩められず、実質的に二重チェックを続けてしまうことです。段階を進める日付をあらかじめ決めておくと緩めやすくなります。

よくある失敗

  • 忙しい人に任せる — 「できる人」に集めると第二の抱え込みが生まれます。業務量を見て配ってください。
  • できあがりに手を入れる — 渡した後に自分好みに直すと、相手は「結局やり直される」と学習します。質が基準を満たすなら、やり方の違いは受け入れます。
  • 口頭だけで渡す — 手順メモがないと、質問のたびに自分へ戻ってきます。3行の箇条書きでよいので書いて渡します。

今週やること

  1. 書き出しシートで自分の業務に印を付ける
  2. 3基準で最初の1つを選ぶ
  3. 手順を3行のメモにして、依頼の場を設定する
注意事項
この記事は一般的な進め方の整理です。労務・法律・人事制度・メンタルヘルスに関わる個別の判断は、所属法人の規程と専門部署・専門家(人事・労務・産業医など)への確認を優先してください。